“3人の天才”を間近に見続けた名プロデューサーだから書ける、プロに徹した男たちの仕事哲学!吉川圭三著『たけし、さんま、所の「すごい」仕事現場』(3/30刊)は熱い!!

 

 世間では、いつの間にか「一発屋」という言葉が一般名詞のように扱われるようになってきました。流行語になりそうな「一発ギャグ」と共にテレビを席巻し、そのブームが終わればいつの間にか画面から消えていくお笑い芸人たち……。彼らの存在は、栄枯盛衰激しい芸能界を象徴しているかのようです。

 その対極にあるのが長く「冠番組」「レギュラー番組」を持ち続ける大御所タレントでしょう。特にビートたけし、明石家さんま、所ジョージの3人は、今もテレビでその姿を見ない日はありません。

 彼らはなぜ、いつまでもテレビに出続けられるのか? 彼らの出演する番組が長寿なのはなぜなのか?

 その秘密を解き明かすべく筆をとったのは、吉川圭三氏です。彼は日本テレビに入社後、『世界まる見え!テレビ特捜部』『恋のから騒ぎ』など数々の長寿番組を立ち上げた名プロデューサーとして知られています。たけし、さんま、所の3人からの信頼が厚いことでも有名です。彼らの「すごい」仕事現場を間近で目撃した吉川氏が披露するエピソードは、テレビで映る姿からは想像できない「プロフェッショナル」ぶりにあふれています。

 たとえば、明石家さんまについて。

「楽しくなければテレビじゃない」をキャッチコピーに掲げ、栄華を誇っていた80年代後半のフジテレビ。後塵を拝する日本テレビ上層部は、若手テレビマンだった吉川氏に、ある特命を授けます。それは「明石家さんまをフジテレビからぶんどってこい」ということ。

 吉川氏らは1年にわたる努力の末、明石家さんまを日本テレビに引っ張ってくることに成功します。しかし日テレスタッフにとって、さんまとの仕事はカルチャーショックの連続でした。さんまは、時間とカネをかけて作った超高額セットでも「現場の空気に合わない」と思うと「いらんわ」とバッサリ切って捨ててしまう。それ以来、「テレビは空気が大事なんや」というさんまの哲学がスタッフの間に浸透していきます。

 ビートたけしについては、「狂気の番組制作能力」と「人間味」が同居する魅力を詳しく掘り下げていきます。無茶ぶり、朝令暮改が当たり前のテレビの現場でも、なぜたけしがスタッフから愛されるのか……。数々のエピソードに、その秘密が隠されています。

 そして、これまであまり多く語られてこなかった、所ジョージについて。

 吉川氏は所を「空気を作る天才」と評します。どんな危険な話題も、どんな気むずかしい人物も、所にかかれば「品」と「優しさ」をもってしまう。所が決して「カンペ」(カンニングペーパー)を読まないのはなぜか。そこに彼の仕事哲学の深淵があります。

 彼らの魅力を最大化し、彼らの能力をフルに引き出す「舞台装置作り」が何より重要であること。そのためには「無駄」を惜しまないこと。その徹底が長寿番組をつくり、現在の日本テレビの隆盛がある。そう肌で感じられる一冊です。(イラスト/佐野文二郎)

  

【著者プロフィール】吉川圭三/1957年、東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、1982年に日本テレビ入社。自ら立ち上げた『世界まる見え!テレビ特捜部』が大ヒット。その後も『恋のから騒ぎ』『特命リサーチ200X』『1億人に大質問!? 笑ってコラえて!』など数々の人気長寿番組に携わる。その後、制作局長代理、制作局エグゼクティブプロデューサーなどを経て、2013年より株式会社ドワンゴへ出向。現職は会長室・エグゼクティブプロデューサー。「ニコニコドキュメンタリー」の責任者でもある。著書に『ヒット番組に必要なことはすべて映画に学んだ』(文春文庫)。

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“3人の天才”を間近に見続けた名プロデューサーだから書ける、プロに徹した男たちの仕事哲学!吉川圭三著『たけし、さんま、所の「すごい」仕事現場』(3/30刊)は熱い!!