銀座の鮨店に10年通い詰めたバブル期のOL片恋物語『その手をにぎりたい』(3/7刊)

 

「それじゃ、今夜はあなたにとって東京最後のお鮨なんですね」
 突然、胸がしんとした。もうこの店に来ることもない、彼に鮨をにぎってもらうこともない。さっきまで他人だったのに、彼をこんなに近しく感じるのは、手から手に受けた鮨のせいだろうか――(本文より)

 
都内で働いていた青子は、25歳で会社を辞め、栃木の実家へ帰ることに。その日、送別会をかねて上司に連れられ入った銀座の高級鮨店のカウンターで、青子は衝撃を受けます。そして、その味にのめり込み、決して安くはないお店に自分が稼いだお金で通い続けたいと一念発起、東京に残ることを決意します。
お店の職人・一ノ瀬への秘めた思いも抱き、到来したバブルの時代の波に翻弄されながら、転職先の不動産会社で働く青子は‥‥‥
 
生き馬の眼を抜くような激動のバブル期の10年を、1章につき1年、銀座の鮨店を定点にして描いていくことで、あの時代に変わったもの、変わらないものを炙り出していきます。
 
「ナイルパーチの女子会」で山本周五郎賞を受賞した柚木麻子さんが描く、自腹で銀座の高級鮨店に10年通った80年バブル期OL片恋物語。読みおわったあとは、お鮨が食べたくなる小説です。2014年に小社より単行本として刊行したものの文庫化です。
 
柚木麻子(ゆずき・あさこ)
『その手をにぎりたい』小学館文庫
定価:本体570円+税 2017年3月7日発売
文庫判・256ページ ISBN978-4-09-406399-8 

本書の内容はこちら


<プロフィール>柚木麻子(ゆずき・あさこ)・・・1981年東京都生まれ。2008年「 フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞。10年に同作を含む『終点のあの子』でデビュー。15年に『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。『ランチのアッコちゃん』などほかに著書多数。

銀座の鮨店に10年通い詰めたバブル期のOL片恋物語『その手をにぎりたい』(3/7刊)