「最近テレビじゃ、面白いことも本当に話したいこともゼンゼン言えなくてムカムカしてるんだ」。そんな呟きから、この本は生まれました──ビートたけし著『テレビじゃ言えない』(2/1刊)

 

 近頃のテレビはかつてないほどの自主規制であふれています。ネット社会では、番組へのクレームが直接メールなどでスポンサーに届けられたり、炎上騒ぎに繋がってしまうため、制作側も臆病になってしまっているようです。コンプライアンス、CMスポンサーへの配慮、そんな建前のもと、この傾向はエスカレートするばかり。その影響は大物・ビートたけしにすら押し寄せてきています。しかし、彼はまったく納得していません。

 それを受けて、「放送コードやタブーなんてクソ食らえだ」というビートたけしの本音を余すことなく詰め込む本を作りたいと考えたのです。

 政治・経済、ネット社会、芸能スキャンダルなどなど……。本書『テレビじゃ言えない』では、彼は毒舌のターゲットを選びません。そこにはテレビで見せるより、もっと過激な「反逆児」としてのたけしの姿があります。自身が権威となってしまった今でも、それにあらがい続け「一芸人」として「毒」と「くだらなさ」を持ち続けようとする男のポリシーがあります。

 その一部を紹介すると──

 毎週高視聴率を叩きだし、国民的長寿番組として君臨する『笑点』に対しては、

<何が面白いのかオイラにはゼンゼンわからない>

<視聴率が高いのは、テレビをつけたまま気を失ってるジジイやババアが多いからじゃないか>

 と一刀両断。

<こんなマンネリ番組のほうがウケるっていうんなら、作り手側は「変わったアイディアを出すより、中高年に安易な焼き直し番組を作っとけばいい」と考えるに決まってる>

<「テレビがつまらない」のはもちろん作り手が悪いんだけど、もしかしたら「見る側」の責任もある気がするぜ>

 とまで言ってのけます。

     

 他にも、昨今の角栄ブームに乗っかる庶民はバカだと断じたり、ネット至上主義の若者たちの「意外な弱点」を示したり、安倍政権が推進する「1億総活躍」社会の欺瞞を皮肉たっぷりに突っ込んだり、とにかく切れ味バツグンの内容になっています。

 4刷6万部のヒットとなっている、小学館新書の前著『ヒンシュクの達人』(2013/12/2刊)に全文掲載されていますが、ビートたけしが東日本大震災直後に述べたメッセージは大きな話題を呼びました。

<今回の震災の死者は1万人、もしかしたら2万人を超えてしまうかもしれない。テレビや新聞でも、見出しになるのは死者と行方不明者の数ばっかりだ。だけど、この震災を「2万人が死んだ一つの事件」と考えると、被害者のことをまったく理解できないんだよ。

じゃあ、8万人以上が死んだ中国の四川大地震と比べたらマシだったのか。そんな風に数字でしか考えられなくなっちまう。それは死者への冒涜だよ。

人の命は、2万分の1でも8万分の1でもない。そうじゃなくて、そこには「1人が死んだ事件が2万件あった」ってことなんだよ。>

 こんな優しさと想像力にあふれた発言をする男が、一方で現代ニッポンの矛盾や欺瞞をばっさりたたき切る。かと思えば、下ネタ、おバカネタを披露して世間からあえてヒンシュクを買う。この多面体のような魅力こそ、ビートたけしが現代において「唯一無二」の存在である由縁だと考えるのです。だからこそ、『テレビじゃ言えない』では、テレビでは放送できないくらいのブラックジョーク、大爆笑の下ネタもふんだんに盛り込んでいます。

 それこそがビートたけしであると、担当編集は考えています。

 この本を手にとって頂ければ、一言では表現できない彼の「本質的な魅力」を堪能して頂けると思います。

 

本書の内容はこちら

 

「最近テレビじゃ、面白いことも本当に話したいこともゼンゼン言えなくてムカムカしてるんだ」。そんな呟きから、この本は生まれました──ビートたけし著『テレビじゃ言えない』(2/1刊)