歴史は、街道ではなく半島で動いた! 歴史作家と歴史学者の融合で埋もれた歴史を発掘! 『半島をゆく 第一巻 信長と戦国興亡編』(11/24刊)

 

『半島をゆく』の企画は、酒席での議論に端を発する。

 

――直木賞作家・安部龍太郎氏、歴史学者の藤田達生、さらには挿絵作家の西のぼるが三重県津市で酒を酌み交わしていた。口火を切ったのは安部だ。

 

「司馬(遼太郎)さんは偉大なお仕事をされたけど、もうそろそろあの史観を越えないとね」

 

――酒席での議論は白熱したが、司馬遼太郎の仕事の中で『竜馬がゆく』と『街道をゆく』が一番面白いという話になった。ここで西のぼるがひとつの提案をする。

 

「それなら似たような仕事を、3人でやったらどうですか」

 

――さらに果て無く続く議論。ここで、西が決定的な一言を発する。

 

「それなら『半島をゆく』でしょう。半島は陸のどんづまりだけれども、海の玄関口ですから」

 

―――明治に鉄道が開通するまで、わが国の物流を担っていたのは海運だった。物流の集積地である半島の港には、物があふれ、人々が集い、あらゆる情報が飛び交った。 だからこそ、歴史は半島で動いた。直木賞作家・安部龍太郎と歴史学者の藤田達生が半島を丹念に歩き、海と陸の接点から日本史を捉え直す意欲で挑んだ企画は、シニア層からの支持を集める月刊誌『サライ』を舞台にスタートすることになった。

2014年3月、一行は最初の取材地に愛知県知多半島を選択した。がんじがらめだった中世の既得権益を破壊して、戦国の世を変革させた織田信長の足跡を辿ろうと考えたからだ。

信長といえば、桶狭間の戦いが有名だが、その6年前、21歳の信長が初めて鉄砲を使用した合戦が知多半島であった。やがて信長は伊勢にも勢力を広げ、海運の要衝を押さえる。経済力で抜きんでた信長は、天下統一への戦いへと向かっていく。

知多半島から見れば伊勢は伊勢湾を介して目と鼻の先。知多半島での取材に際して、一向は対岸の鳥羽港からフェリーで知多半島を目指した。―――。(文中敬称略)

 

『半島をゆく』第1巻「信長と戦国興亡編」は、月刊『サライ』に掲載した記事のなかから、最初に取材した知多半島をはじめに、おもに戦国時代に舞台となった“半島”へ焦点をあて構成した。

 

知多半島(愛知県)

「桶狭間」6年前、21歳の若き信長の足跡。

天下布武の戦いは半島から始動した。

(主な取材先)

野間大坊、延命寺(洛中洛外図屏風)、村木砦跡、緒川城、大野城跡

 

薩摩半島(鹿児島県)

徐福、鑑真、ザビエル、琉球貿易・・・・。

開聞岳を仰ぐ「海の玄関口」

(主な取材先)

開聞岳、枚聞神社、正龍寺跡、白水館、山川港、坊津、 輝津館、鑑真上陸地、冠嶽山鎮国寺ほか

 

能登半島(石川県)

希代の絵師・等伯を輩出した

わが国屈指の山城・七尾城と城下町

(主な取材先)

七尾城、七尾美術館、加賀屋、福良津、義経の舟隠し、須須神社、時国家、珠洲焼資料館、お熊甲祭、宗玄酒造ほか

 

沼隈半島(広島県)

打倒信長を目指した将軍義昭

本能寺の変の司令塔は鞆の浦にあった!

(主な取材先)

阿伏兎観音、福禅寺対潮楼、沼名前神社、太田家住宅、常夜燈、小松寺、安国寺、鞆の浦歴史民俗資料館、龍馬宿泊跡、いろは丸展示館、山中鹿之助首塚、常國寺ほか

 

伊豆半島(静岡県)

頼朝、早雲、江川英龍――。

歴史の転換は常に伊豆から始まった。

(主な取材先)

蛭ケ小島(頼朝配流地)、山木館跡、毘沙門堂(文観修行地)、願成就院、重要文化財江川邸、韮山城址、韮山反射炉、修善寺源氏ゆかりの地、土肥ほか

 

志摩半島(三重県)

信長の天下統一戦線、海の功労者。

村上水軍を撃破した九鬼水軍の興亡

(主な取材地)

答志島、鳥羽城、常安寺、仙遊寺、英虞湾、大王崎、波切城ほか

 

%e3%83%91%e3%83%8d%e3%83%ab%e7%94%a8

(左)藤田達生氏 (右)安部龍太郎氏

 

【著者プロフィール】

安部龍太郎(あべ・りゅうたろう)/1955年、福岡県生まれ。久留米高専卒業後、東京都大田区役所勤務の傍ら、小説を執筆。1990年、『血の日本史』で注目を集める。2003年『天馬、翔ける』で中山義秀文学賞、14年『等伯』で直木賞を受賞。小学館からは『薩摩燃ゆ』『五峰の鷹』のほか写真家・藤原新也氏との共著で『神の島 沖ノ島』を刊行。

 

藤田達生(ふじた・たつお)/1958年、愛媛県生まれ。三重大学教授。織豊時代を中心に戦国から近世までを専門とする歴史学者。『天下統一 信長と秀吉が成し遂げた革命』など多数。

 

『半島をゆく 第1巻 信長と戦国興亡編』

著・安部龍太郎/藤田達生(歴史解説)

定価:本体1,500円+税 2016年11月24日発売

四六判並製・328ページ ISBN978-4-09-343442-3

本書の内容はこちら

歴史は、街道ではなく半島で動いた! 歴史作家と歴史学者の融合で埋もれた歴史を発掘! 『半島をゆく 第一巻 信長と戦国興亡編』(11/24刊)