「このホテルから私の小説がはじまりました」——作家・伊集院静が自らの原点といえる日々を綴った自伝的随想『なぎさホテル』を文庫化!(10/6刊)

 

 「どうしようもないもの」を抱えながらも生きる若者を見守ってくれた「夢の中のホテル」。そこで何に出逢い、何を感じていたのか。作家・伊集院静の原点を知るための必読書!

 

 1978年冬、若者は東京駅構内にいた。足元のトランクには数枚の衣類、胸のポケットにはわずかな金しかなかった。酒やギャンブルに身を置いた末に、東京での暮らしをあきらめ、生家のある故郷に帰ることもできない。

 そんな若者が、あてもなく立ち寄った逗子の海岸に建つホテルで、温かく迎え入れらえる。

  「いいんですよ。部屋代なんていつだって、ある時に支払ってくれれば」

 見ず知らずの自分を、家族のように受け入れてくれる支配人や副支配人、従業員たち。若者はそれからホテルで暮らした七年余りの日々の中で、小説を書きはじめ作家デビュー、大人の男への道を歩き出す――。

 

 若き日に向き合った彷徨と苦悩、それを近くで見守ってくれた人々との出逢いと別れ。ホテルは1989年にその歴史に幕を閉じているが、目の前に海の広がるあの場所で過ごした時間は今でも作家の夢の中に生き続けている。作家デビュー前夜からの大切な場所と時間を振り返り、作家としての原点を綴った貴重な自伝的随想。

*2011年に小社より刊行した単行本を小学館文庫より文庫化しました。巻末には、文庫版書き下ろしの「あとがき」を追加で収録しています。

 

小学館文庫 『なぎさホテル』

定価:本体570円+税 文庫判・256頁

本書の内容はこちら

 

【著者プロフィール】伊集院 静(いじゅういん・しずか)/1950年、山口県生まれ。立教大学文学部卒業。81年「皐月」で作家デビュー。91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で直木賞、94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、14年『ノボさん小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞を受賞。他に『海峡』シリーズ、『美の旅人』シリーズをはじめ、近著に『不運と思うな。大人の流儀6』など。

「このホテルから私の小説がはじまりました」——作家・伊集院静が自らの原点といえる日々を綴った自伝的随想『なぎさホテル』を文庫化!(10/6刊)