我々を魅了し続ける天才絵師とその作品に、 江戸と明治、二つの時代軸で描いた 渾身の書き下ろし小説!『遊戯神通 伊藤若冲』(9/1刊)

 

河治和香著『遊戯神通 伊藤若冲』(ゆげじんづう いとうじゃくちゅう)は、これまであまり知られることのなかった若冲の素顔と、その作品の秘密に迫った長編小説です。

 

 2016年春に上野の東京都美術館で行なわれた「若冲展」は、宮内庁所蔵の『動植綵絵』全30幅をはじめとする代表作約80点がみられることが話題になり、会期わずか1か月で44万人が来場しました。入館まで5時間待ち、などということもあったとか。いまや江戸時代を代表する絵師のひとりとみなされるようになった伊藤若冲(1716~1800)は、今年生誕300年をむかえました。

 

若冲没後100年を経た明治時代にも注目! そこから物語がはじまり、つぎに若冲に仕えてきた女性の視点で若冲を描くという江戸時代編、最後にまた明治時代へ戻り、若冲作品のその後などが語られていきます。

 

 明治37(1904)年にアメリカ・セントルイス万博が開かれたときに、日本のパビリオンに〈若冲の間〉が出現します。展示されたのは実際の若冲の作品ではなく、若冲作品をもとにして作成された織物(タペストリー)でした。その出来映えは当時の人びとを驚かせ、若冲ブームが起こりました。仕掛け人は、のちに浮世絵の三大コレクションのひとつといわれた三原コレクションを築いた人物。同じころ、京都の図案家である神坂雪佳(かみさかせっか)は、若冲の末裔から〈若冲の妹〉といわれる美しい女性・美以がいたことを知ります……。

 美以は、宝暦13(1763)年から京都・錦市場の青物問屋〈枡源〉で、若冲に仕えるようになりました。仕事は、若冲が飼っているニワトリやめずらしい鳥、草花の世話でした。世の喧噪とは別世界のなかで描き続ける若冲の近くにいる美以は、いつの間にか若冲に秘めた思いをもつように……。しかし、平穏な日々はいつまでも続かず、若冲のまわりではさまざまな出来事が起こります。『動植綵絵』の完成間際に、錦市場を揺るがす事件が発生、その最中に若冲の弟が謎の死を遂げてしまいます。さらには、天明の大火で家がなくなってしまうのです。若冲は、ここからどう生きたのか。晩年、伏見の石峰寺に移った若冲について、美以も剃髪して尼となって同じ寺に入り、生涯を若冲のそばで……。

 

同時代を生きた上方の文化人・木村蒹葭堂や平賀源内といった人物が、魅力的な脇役で登場!

 

 小説のなかでは、個々の作品の技法について、天変地異にも生き延びる作品の生命力についても言及しています。

 そして、『動植綵絵』をはじめとする色あざやかな作品についてはもちろんですが、墨を中心としたモノクロームの若冲作品の良さに注目した河治さん。カバーの『青桐に砂糖鳥』をはじめ、カバーの裏にもタペストリーの『紫陽花双鶏之図』、本書内にも7点の図版を掲載しました。

 最後に、この小説の〈虚〉と〈実〉について著者みずからが触れた長い「あとがき」を読んでいただければ、本作品の面白さが一段と感じられることと思います。

 

『遊戯神通 伊藤若冲』

河治 和香

定価:本体1,650円+税 2016年9月1日発売

四六判・288ページ ISBN978-4-09-386446-6

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我々を魅了し続ける天才絵師とその作品に、 江戸と明治、二つの時代軸で描いた 渾身の書き下ろし小説!『遊戯神通 伊藤若冲』(9/1刊)