NHKの朝ドラで話題の天才編集者、日本のあるべき暮しを提示し続けた「花森安治」に迫る『花森安治と『暮しの手帖』』(8月1日刊)!

 

花森安治の業績と考え方をわかりやすく紹介し、

当時から今に至る課題についても綴った一冊です。

 

 雑誌『暮しの手帖』の創刊編集長、花森安治。その編集方針は、広告を一切取らないことをはじめ、ほかの雑誌では真似できない独特のものでした。彼は多くの挿絵も描き、本の装幀も手がけ、社会問題をはじめ、さまざまなテーマについての文章も、たくさん書き残しました。

 

本書は、『暮しの手帖』を愛読してきた著者たちが、

研究者ならではの知識と視点で、

わかりやすく花森安治の世界に迫っていきます。

 

 第一章では、彼が調査、実験して、批評したうえで意見表明をした事柄を取り上げています。

 『暮しの手帖』の名物企画となった〈商品テスト〉。これは、“商品テストの思想”で紹介しています。商品はすべて購入し、テストは徹底して使用して使い心地をチェック。その結果として、どの商品がよかったかを発表しました。たとえば「ミシン」の時は、購入してきた34台で、それぞれ1万メートル分を縫ってみたといいます。テスト日数は154日間、延べ協力者は1,366名になりました。メーカーも、じっさいは針に糸を通してこんなに縫っていなかったのです。そして、花森の“なにもかしこい消費者でなくても、店にならんでいるものが、ちゃんとした品質と性能をもっているものばかりなら、あとは、じぶんのふところや趣味と相談して、買うか買わないかを決めればよいのである。そんなふうに世の中がなるために、作る人や売る人が、そんなふうに考え、努力してくれるようになるために、そのために〈商品テスト〉はあるのである”を引用し、消費者のためのテストではなく、作り手や売り手の姿勢を問うているのです、と書いています。

 

 また、“朝ごはんと学校と子どもたち”では、朝ごはんを食べない子どもたちを取り上げた『暮しの手帖』の記事を紹介し、こんにちでも朝ごはんを食べないで登校してくる子どもが、およそ5人に1人いる点と、さいきん注目を浴びている「子ども食堂」や「フードバンク」に触れて、「暮し」に向き合うこととは“地道に、手の届く範囲で、家族や地域社会の再構築をしていくしかありません”と当時の花森のいうことばが、現在にもリンクしていることを示しています。

 

 第二章では、“人はそのままにあるのではなく、「なる」のです”とし、“どんな環境で誰に出会うことによって「花森安治」という人物が作られたのか”というテーマで、花森の若き頃を振り返ります。

 

 第三章では、“花森ほど創意工夫に卓越した技量を発揮した人もいません。ここではそんな花森が、世の中をどう見ていたか”をさぐっていきます。

 ここでは、たとえば『暮しの手帖』の総目次をみていくことで、雑誌が創意工夫を常に提案していること、「玄人」ではなく「素人」が工夫するモードをめざしていたこと、衣食住を取り上げながら小説連載などの文芸色はなく、婦人雑誌をめざしていなかったと分析しています。

 

 最後に、面白い感想をひとつ。花森が句読点のない文章を書くことがある、ということに気づいた著者は、それが“詩のスタイル”では?、というのです。“花森は、何かを強く訴え世に知らしめたいとき、詩を書くようです”と述べて、いくつかの例を挙げています。

 

この本で紹介されている花森の考え方や意見は、

きっと読んだ人の心に響くにちがいありません。

ぜひ、手に取っていただきたいと思います。

 

『花森安治と『暮しの手帖』』

山田俊幸/岩崎裕保 編著

定価:本体1,300円+税 2016年8月1日発売

四六判・224ページ ISBN978-4-09-388500-3

本書の内容はこちら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

NHKの朝ドラで話題の天才編集者、日本のあるべき暮しを提示し続けた「花森安治」に迫る『花森安治と『暮しの手帖』』(8月1日刊)!