片山恭一著『なにもないことが多すぎる』(4/20刊)。「セカチュー」以来の青春小説のキーワードは「死とはなにか」「生とはなにか」。装画は直木賞作家・西加奈子氏!

 

「愛と死」を主たるテーマに書き続けてきた著者が、『世界の中心で、愛をさけぶ』以来、15年ぶりに男子高校生を主人公に描いた青春小説です。

①若い男子ばかりが死んでしまうディストピアを、男子高校生が大好きなボブ・ディランを命綱のようにして生き続け、かつてのバンド仲間たちとある行動に出るというパート。

②地上から少し離れた、どこか匿名の場所から、世界の有り様をラディカルかつ軽妙に語り続ける、ジョー・パブリックという男のパート。

③ボブ・ディランに関しての短い考察を加えたパート。

──以上の3つお話が、交互に語られ、次第に化学反応を起こしていきます。

 タイトルの「なにもないことが多すぎる」はボブ・ディランの曲に実際にあるものです。この表題に、西加奈子さんが描いたアリクイの絵が絡み、非常に目力の強いカバーデザインになっています。アリクイの目は、拗ねていたり、世を倦んでいるようで、どこか見ているこちら側の深奥をのぞき込んでくるような、強くて深い眼差しで縁取られているように感じられます。

 そして、カバーの絵と波長を合わせるかのように、物語の登場人物たちも匕首のようなものを読み手に突きつけてきます。私たちが日々、真剣に考えることを回避させている「死とはなんなのか」、翻って「生とはなんのか」ということを。

 それでいて、帯のメインコピー「死の前では、みんな童貞だ」にもあるような、どこか不可思議なユーモア感が小説全体をそこはかとなく包み込んでいるように思えます。

 

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片山恭一著『なにもないことが多すぎる』(4/20刊)。「セカチュー」以来の青春小説のキーワードは「死とはなにか」「生とはなにか」。装画は直木賞作家・西加奈子氏!