「サザエさん」生誕70年目に、小学館資料室で偶然発見された長谷川町子、戦中の作品約100点を収録。あの作品の原点が、ここに!『長谷川町子の漫畫大會』(4/11刊)は一級資料です!!既に朝日新聞ほか全国数多くのメディアで紹介。

 

 朝日新聞4月4日の夕刊一面トップで報じられ、共同通信によって配信された紹介記事も全国数多くの新聞に掲載された本書── 始まりは、まったくの偶然だった。

 昨年2月、小学館「P+DBOOKS」シリーズのひとつ、松本清張の幻の初期連載長篇『山中鹿之助』の初出誌(『中学生の友』小学館刊)を探しに、社内地下にある資料室に入った編集スタッフが、気まぐれに手に取ってめくった『國民五年生』昭和16年5月号に村岡花子翻訳による「カンタベリー物語」を発見。翻訳者は言うまでもなく、話題を呼んだ、NHK朝の連続テレビ小説『花子とアン』の主役である村岡花子だ。添えられたモダンなイラストに驚いて手を止め、改めてよく見ると、カッコ付きで「長谷川町子・畫」の表記があった。

「え? あの長谷川町子?」と半信半疑ながら、その前後の号を確認してみたところ、同年7月号に町子がイラストを描いた「ヘンゼルとグレーテル」もあった。ただ、この時点ではまだ、スタッフは、「へえ~、小学館でも描いてもらっていたんだな」という程度の認識だった。

 

國民五年生 表紙
▲『國民五年生』昭和16年5月号表紙
カンタベリー物語
▲「カンタベリー物語」扉
 

 その数日後。たまたま別の用件で、アニメ版「サザエさん」の制作会社である「エイケン」の取締役と会ったこのスタッフは、雑談の中でポロッと、長谷川町子作品発見の話をした。

 このニュースはすぐに長谷川町子美術館に伝えられ、およそ1か月後の3月下旬、件の取締役と長谷川町子美術館の学芸員・橋本氏が揃って小学館資料室を訪問。作品を見た橋本氏は、驚いて一言、

「これは全部、美術館も知らなかった作品です!」

 しかし、この時点ではまだ漫画作品は一点も発見されておらず、後に、あれほど大量の漫画作品が見つかるとは、誰も予想していなかった──。

 この時、同席していた資料課課長が、後に古い「編集総務ニュース」という社内誌に掲載された当時の資料室長のコラムの中に、「戦前、小学館で長谷川町子さんが仕事をしていました」という一文を発見。さらに「短編漫画や室生犀星の作品に挿絵を描いている」との記述もあったことから、小学館資料室の大調査がスタート!! 古い雑誌を片っ端からめくっていくという、まるで遺跡の発掘調査のような地道な作業が黙々と続けられたのだ。

 そして、およそ半年間にわたる調査の結果、発見された作品は、イラスト約40点、漫画約70点、1ページの「メンタルテスト」(なぞなぞ)、「ワラヒバナシ」などの企画物が約30点の計140点ほど。中でも1ページの企画物は、同時期の他の出版社の作品には見られないスタイルで、短いセンテンスでもって笑いに落とし込むテクニックは見事という他はない。すべて、昭和14年~18年春、町子19歳から23歳までの短い期間に、小学館の学習雑誌に描かれたものである。 

 それらは、今見ても楽しく、可愛らしく、そして面白い。

 

オルスヰブタイ
▲「オルスヰブタイ」
1ページもの
▲1ページものの絵

 

 

──進軍ラッパが高らかに鳴り、軍靴の響きが日に日に近づいてくる中、町子は一貫して、明るく朗らかな人々の日常と希望を描き続けた。そして、その作品には時々、笑いのオブラートに包んだ、町子の戦争に対するシニカルなまなざしが感じられる。後に「サザエさん」で時代を鮮やかに切り取った町子。後の活躍に至るその軌跡を辿り、才能の萌芽を知る貴重な資料が本書だ。

 また、ドラマで何度もフネさんを演じ、今も第一戦で活躍する女優・吉行和子さんが、本書に収められた町子作品に寄せて語る当時の思い出は、同じように父親不在のまま戦中を生き抜いた長谷川家の歴史と重なる。さらに、NHKの朝の連続テレビ小説『マー姉ちゃん』で町子を演じた田中裕子さんの、凜として美しい直筆メッセージなど、特典も満載である。

 加えて、町子の姉で、姉妹社の社長として陰で町子を支え続けた姉・毬子さんの見事な挿絵も紹介。ふたりを身近で見てきた長谷川町子美術館の館長の話からは、互いに「お姉さま」「町子ちゃん」と呼び合ったふたりの作品と人生に迫る。

 貴重な資料の数々、見逃せません。

本書の内容はこちら

 

 

「サザエさん」生誕70年目に、小学館資料室で偶然発見された長谷川町子、戦中の作品約100点を収録。あの作品の原点が、ここに!『長谷川町子の漫畫大會』(4/11刊)は一級資料です!!既に朝日新聞ほか全国数多くのメディアで紹介。