余命数か月の著者が「死」と向き合って、「医療と宗教の再結合」を説いた感動の一冊!田中雅博著『いのちの苦しみは消える 医師で僧侶で末期がんの私』(3/16刊)

 

 内科医であり、僧侶でもある田中雅博氏は、いま自身が末期がんになり、余命数か月と自覚しています。その著者が「いのちの苦しみ」、つまり死ぬのが怖いという気持ちとの向き合い方を説く本書は、生と死の見つめ方の本質を教えてくれる一冊です。

 著者は、本書の冒頭でいきなり、「いのちの苦しみから救うことは医者にはできない」と語ります。なぜなら、身体の苦しみは医学により緩和することができたとしても、「死の恐怖」は医療行為によって緩和することができないからです。

 そこで著者は、宗教の必要性を説きます。「自分への執着を捨てるという仏教の教えによって、いのちにこだわりを持たない生き方ができる」。

 医師として僧侶として、死を間近に見てきた立場から、「医療と宗教の再結合」を最期の願いとして訴えているのです。著者は、「自分のいのちが残りわずかとなったら、自分の考えがメディアから注目されるようになり、『危機こそチャンス』という言葉を実感した」と語っています。

 その言葉通り著者は、抗がん剤治療を続けながら、日本各地で医療と宗教の再結合を訴える講演を行ない、関連会議に参加するなど、日々動き回っています。また、自身が住職を務める栃木県の西明寺では「自分へのこだわり」を捨てるためにヨーガを実践し、日本各地からたくさんの人々が訪れています。

 まさに「危機こそチャンス」の生き方を実践しているのです。本書作成にあたっても、自分の考えを残そうと、体調が悪化するなか尽力してくださいました。ちなみに、帯の写真は、本書のために病室で奥様が何百枚も撮影されたうちの一枚です。

〈たくさんの患者さんが亡くなられていくのを看取りながら、「そのうちに自分の番が来るだろう」と思っていました。だから、驚きもしないし、悲観もしない。「自分の番が来たか」と。むしろ「自分の番が来たらこうしよう」と考えてきたことがあるので、それを一つ一つ実行しているような感じです〉(本文より)

 著者の言葉は、死を身近に考えるすべての人たちの心に、深く刻み込まれるはずです。

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余命数か月の著者が「死」と向き合って、「医療と宗教の再結合」を説いた感動の一冊!田中雅博著『いのちの苦しみは消える 医師で僧侶で末期がんの私』(3/16刊)