認知症予防に!自律神経の安定に!インバウンドに!日本の伝統美を新しい形で伝える『ぬって飾れる 京きもの ぬり絵本』3月18日発売!

 

 10年修業して一人前。職人の世界ではよくこんな話を聞きます。私の母もそんな職人の世界に50年近くどっぷり浸かっていた人でした。母は手書き京友禅の下絵図案家でした。菊や桜、藤などの花々から御所車、大名行列まで、古典的で精細な柄をすべてゼロから手で描き起こすのです。きものは何も描かれていない白い生地に、露草の花を染料にしたアオバナを筆に付けて下絵を描いていきます。そのため、京都の実家には、私が子供の頃から白い反物がゴロゴロと転がっていました。

 バブルが弾けた後、京友禅の業界が厳しくなり、母は後進に譲る形で引退。しかし、80歳を過ぎてからも、絵に対する情熱が消えることはありませんでした。昨年、そんな母が亡くなり、遺品のひとつだった下絵の草稿に目がとまりました。「茶屋辻」と呼ばれるその柄は、他の職人にはない母独特の優しい線で描かれていました。

 線画だけの下絵に様々な色を染め上げて完成する京友禅のきもの。白地のデザインに色を入れる――、それはまさに今、ブームのぬり絵と同じ作業だと気付いたのです。

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▲企画のきっかけとなった図案草稿

 恐縮ながら、そんな個人的な体験から着想を得て企画化したのが、3月18日に発刊されるSJムック『ぬって飾れる 京きもの ぬり絵本』です。

 京都の友人やスタッフから候補を紹介してもらい、今回、図案の提供をお願いしたのは、京友禅型染めの老舗「亀田富染織工場」さんです(京都では何でも“さん”付けで呼びます)。

 亀田さんは、伝統に縛られることなく、柔軟な発想できものの柄を使ったアロハシャツなどを生み出し、話題となりました。その柄は有名デザイナーの目にもとまり、なんとパリコレの衣装にも使用されたほど。古めかしいはずのきものの柄は、新しいデザインとして進化したのです。 

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話題となったアロハシャツ

 亀田さんが大切に所有されている大量の図案の中から、ぬり絵に向きそうな柄の選定作業も予想以上に大変でした。型染めの図案のため、下絵自体のサイズが畳み一枚分くらいと相当大きいのです。一枚一枚見るだけでも骨が折れますが、採用した図案を本のためにデジタル化するのも一苦労。凸版印刷が誇る巨大なスキャナーの使用も検討しましたが、持ち運びが困難なため断念。結局、カメラマンに写真撮影してもらい、その画像をぬり絵用に加工していくという手法をとりました。図案に書かれた鉛筆のメモや破れた部分を繋ぐテープなどを消して、実線のみ明瞭にしていくという作業です。

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▲大きな図案を写真撮影

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大切に保管されていた図案

 できあがったぬり絵のページがこれです。花からお姫さままで、かなり細かい絵も多いですが、すべてのぬり絵ページは取り外して飾ることができる仕組みになっています。さらに、両観音開きの特大ぬり絵のほか、広げると長さ70㎝にもなる桜の図案をカラーとモノクロで四折り付録として綴じ込んでいます。これから花見の季節。カラーの面をそのまま飾るもよし、モノクロの面を色鉛筆でぬるもよし。ぬり絵は全36点、掲載しています。

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本書のぬり絵ページの一例

 また、本書では、ぬり絵のページだけではなく、京友禅というきものの文化を知っていただくために、カラーページを設けて典型的な図案を写真と共に解説。亀田さんの型染めの工程も紹介しています。

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▲亀田富染工場の型染め風景

 昨年から日本へやってくる外国人観光客の数が激増していますが、特に京都の街は外国人であふれているといっても過言ではありません。こうした観光客が殺到しているのがレンタルきもの店。きものを着て京都の街を歩いてみたい、という外国人の方が多いのです。実際、京都の街は最近、きもの姿の外国人だらけ。

 そこで、外国人のきものへの関心の高さにも対応すべく、今回のぬり絵本は、解説文など全文英訳を掲載しています。書名は英語では“Kyoto Kimonos to Color and Display”。海外からのお客様やお友達へのお土産にも最適です。

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英文を併記した図案解説ページ

 今、ブームのぬり絵は、いわゆるボケ防止になると言われますし、自律神経を整える効果があるとも言われています。ご両親などご家族や親戚の方、親しいお友達へのギフトはもちろん、最近ちょっと生活がすさんでいるかなと思っている方は自分自身のために手に取ってみてください。ゆったりと少し豊かな時間をお約束します。


画(図案提供)紹介】

亀田富染工場(かめだとみせんこうじょう)

 大正8年、京友禅の染屋として創業。昭和24年、株式会社亀田富染工場として会社設立。近年、きもの産業が厳しくなる中、平成13年、京友禅の図案を用いたアロハシャツを発売。翌年よりPagong (パゴン)というブランド直営店を展開し、京都本店、祇園店、SANJO by pagong店のほか、東京・自由が丘にも開店。また、京友禅の制作体験なども実施し、伝統工芸としてのきもの文化を伝えている。

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