《3・11を忘れない①》改めて、どう備えるか、どう防災するかを教えてくれている──3/8刊『石巻赤十字病院の100日間 増補版』

 

「衝撃の一冊。言葉では言い表せない」

「自分の家族の安否も不明の中、不眠不休で働き続けた病院の方々に、ただただ頭が下がる」

「自分の勤めている病院では防災訓練もしていないし、こんな対応はまずできない」

――2011年3月11日に起きた東日本大震災から7か月後の、10月に出版された単行本『石巻赤十字病院の100日間』は、医療関係者を中心に読まれ、大きな反響を呼びました。これに「5年後の石巻赤十字病院」(約1万8000字)を増補し、文庫化したのが本書です。

 地域の一病院がどのように災害医療の最前線に立ち、病院の機能を麻痺させず、底をつく水・食料・医療資源の中で奮闘したのか。被災者でありながら、働き続けた医療従事者の心中はどんなものだったのか。全国から集まる救護チームをとりまとめる「おもてなし」型リーダーシップとは……今後の災害医療のモデルケースになるともいわれる、この病院の取り組みが詳細に描かれています。

 単行本発売時、本書を個人的にyoutubeで推薦していた評論家・荻上チキ氏は、「文庫解説」にて本書を以下のように評します。

〈医療従事者たちの苦闘の模様を、美談や成功譚として誇張することなく、時に失敗談も紹介しながら、淡々と記述していく。そんな本書からは、「苦い経験」をあますことなく「次の想定」に生かすという強い意志が感じられる。(略)

 優れたルポルタージュである本書は、同時に、防災の教本としても読まれるべきものだ。本書の記述を箇条書きにまとめていくだけでも、災害対策を検討するための優れた教本として利用できるだろう。〉

 また、増補した「5年後の石巻赤十字病院」では、現状、そして震災を機にいかに医療現場が変わろうとしているのかが記されています。

 石巻の医療を、石巻赤十字病院とともに支えていた石巻市立病院(2016年夏に移転・開院予定)が水没したことによって、石巻赤十字病院における震災後の患者数は1.5倍のまま推移しています。救急車の受け入れ率は、震災前は95%だったのに対し現在は99%超にまで上がり、たとえ満床でも受け入れざるを得ない状況に。“忙しい”が常態化してしまった現実があります。

 一方で、震災によって多くの医療機関が機能停止したことにより、自宅療養のニーズが高まり、「在宅医療」が拡充するきっかけにもなりました。その他、避難所生活における段ボールベッドが各自治体で普及したり、国レベルでは、DHEAT(ディーヒート・災害時健康危機管理支援チーム)・DPAT(ディーパット・災害派遣精神医療チーム)の構想などが検討されたり、この災害を教訓に新たな“備え”が水面下で進んでいます。

 あの震災では何が起こっていたのか、そしてこれからどう備えていくのか、本書の読書体験によって、次への課題を読み取り、自身の教訓として役立ててもらえれば幸いです。

 また、読後、もしくは読む前に以下の動画『【日本赤十字社】石巻赤十字病院~東日本大震災 初動の記録~』https://www.youtube.com/watch?v=Pc1ZO7YwcWcを併せて観ることをすすめします。

 

本書の内容はこちら

 

《3・11を忘れない①》改めて、どう備えるか、どう防災するかを教えてくれている──3/8刊『石巻赤十字病院の100日間 増補版』