2/16刊『漂流怪人 きだみのる』──嵐山光三郎による、怪物社会学者・きだみのるの破天荒評伝、ついに発売!

 

『悪党芭蕉』『文人悪食』など、文人の評伝シリーズがロングセラーとなっている嵐山光三郎氏が、「どうしても書いておきたかった」という渾身の文人評伝が、いよいよ発売になります。

 嵐山氏が、28歳、まだ平凡社で雑誌『太陽』編集部員だったとき、当時一世を風靡していた社会学者・きだみのるの連載を担当することに。八王子の仕事場に呼ばれて原稿依頼に行くと、そこには、悪臭漂うゴミに埋もれて原稿を書く、白髪の坊主刈りで入道のようなきだみのる(75歳)がいました(写真下)

021笳丞ョ歙逕サ蜒・01-3◀きだみのるの仕事場は、野菜やカビの生えた干物、フランスパン、ラム酒、広辞苑、週刊新潮、長靴、万年ぶとん、トランジスタラジオなど、家庭用品と雑誌と食料が渾然一体となって散らばっていた。(写真:柳沢信)

 

 そして、そばには、謎の少女(7歳)が。きだみのるは「ミミくんだよ。わが同士だ」と紹介します(のちに娘であることがわかる)。そこから、嵐山氏は、きだみのる、ミミくんと三人で、全国各地を取材で回ることになります。(写真下)

009笳丞ョ歙逕サ蜒・01-2◀右から、きだみのる(75歳)、ミミくん(7歳)、嵐山光三郎(28歳)、柳沢信(カメラマン)。長野県の伊那の山中で、セルフタイマーで撮影した写真。

 きだみのるは、明治28(1895)年生まれ。慶應大学中退後に渡仏。パリ大学でマルセル・モースに社会学を学び、第二次大戦中『モロッコ紀行』を書きます。帰国してファーブル『昆虫記』を翻訳出版後、現在の東京・八王子にあった恩方村という、自給自足で暮らす集落の人間模様を描いた『気違い部落周游紀行』(1948年刊)が、毎日出版文化賞を受賞。昭和32(1957)年に渋谷実監督で映画化され、淡島千景、伊藤雄之助、伴淳三郎、森繁久弥らが出演、大ヒットしました(2015年、「シネマヴェーラ渋谷」で上映され大盛況でした)。

 また、太平洋戦争が始まる直前に、甘粕正彦大尉からじきじきに諜報部員にならないかと誘われたこともありました。娘のミミくんは、きだみのるの晩年、作家・三好京三に預けられ、直木賞受賞作『子育てごっこ』のモデルとなります。

 フランス趣味と知識人への嫌悪、反国家、反警察、反左翼、反文壇で女好き。果てることのない食い意地(きだみのるの豪快料理レシピも掲載)。人間のさまざまな欲望がからみあった冒険者、きだみのる。開高健に、「じつに爽快、明晰そのもの、鼓舞激励された。拍手します」と言わしめた、「永遠の自由人、きだドン」の生き様は、男が小物ばかりになってしまったといわれるいま、元気と勇気と感動を与えてくれます。

 月刊『本の窓』の大好評連載がついに単行本に。人物評伝の白眉といえる1冊です。

 

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2/16刊『漂流怪人 きだみのる』──嵐山光三郎による、怪物社会学者・きだみのるの破天荒評伝、ついに発売!