少年殺人犯とその家族たちの“無反省な実態”を描く『「少年A」被害者遺族の慟哭』

 
■知れば知るほど腹が立つこの実態!

殺された息子の母親を、加害者の父がカラオケに誘う。
賠償金を値切り、加害者を大学に通わせる。
「たった一度の過ちで、息子の人生を棒に振りたくない」と言い放つ。
確定した賠償金を一銭も払わない。
「僕の事件を面白い小説にしました」という“詫び状”を寄こす。
もちろん、謝罪になど来ない。
――これが、殺人を犯した少年とその親の実態です。
我が子を失ったあとも、被害者の地獄は永遠に続くのです。

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2015年2月に発生した「川崎中1殺害事件」の現場

■少年の罪と少年法の罪

 統計によると少年犯罪は減り続けていますが、猟奇的な事件や、いわゆる体験殺人――人を殺してみたかったから殺した――など、動機が不可解なケースは、むしろ増えている印象があります。一方で、少年(未成年)、とくに18歳未満は少年法で手厚く守られており、重罪を犯して刑事裁判にかけられても短期間で出所するケースがほとんどです。
 遺族たちは口をそろえて「これでは無駄死にだ」「なぜ死刑や無期懲役にできないのか」と憤慨しますが、少年法の壁は厚く、犯した犯罪と量刑が釣り合っているとは言えません。
 また、遺族に対する加害者側の対応も、すでにご紹介したようにひどいケースが目立ちます。挙げ句の果てには再犯を繰り返し、また罪に問われている元犯罪少年も少なくありません。
 少年によって我が子を惨殺された遺族たちは、いま何を望んでいるのか。どうすれば“救われる”のか――。
 遺族への綿密な取材を通じて、知られざる少年審判の実態、賠償金制度の“穴”などを明らかにし、厳罰化だけでは解決できない「少年法」の闇とあり方に迫ります。

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■あなたの子どもは大丈夫ですか?

 1948年に成立した少年法は4度改正され、そのたびに厳罰化の方向に向かっています。しかしまだ遺族たちが満足するレベルには至っていないし、少年による凶悪犯罪は発生し続けています。「酒鬼薔薇聖斗」に触発されたのか、猫などの動物を殺す事件も頻発しており、不穏な雰囲気が漂っています。

 選挙年齢の引き下げにともなって、少年法も改正されるとは思いますが、刑罰は年齢だけを基準にしていていいのでしょうか。少年院などの矯正プログラムは、本当に機能しているのでしょうか。
 この本がそれらのことを考えるきっかけになれば幸いです。
 誰もが被害者にも加害者にもなれる時代だからこそ、罪を犯せばどうなるのか、犯罪を防ぐためにはどうすべきなのかを考え直す、渾身の一冊です。

本書の内容はこちら

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著者プロフィール:藤井誠二 ふじい・せいじ

 1965年、愛知県生まれ。高校卒業後、本格的にノンフィクションライターとして活動を開始。教育問題、少年犯罪、沖縄問題等について精力的に作品を発表、テレビやラジオ等でも発言している。とくに犯罪被害者遺族問題については、その綿密かつ、当事者の声を真摯に聞く取材に定評がある。『人を殺してみたかった』(双葉文庫)、『殺人を予告した少年の日記』(ワニブックス)、『壁を越えていく力』(講談社)、『殺された側の論理』(講談社+α文庫)等、著書・対談本は50冊以上。愛知淑徳大学の非常勤講師も務める。

 

少年殺人犯とその家族たちの“無反省な実態”を描く『「少年A」被害者遺族の慟哭』