父の病気で、広告代理店のOLが『わたし、型屋の社長になります』ひたむきに取り組む女性社長の奮闘と中小企業の心意気を描いた製造業応援小説!

 

 型屋とは、金型を作る会社のことです。分かりやすく言えば、鯛焼きを焼く鯛の形の型であり、携帯電話のフレームなども金型から作られています。金型の製造において、日本は世界の30パーセントの金型を作っている金型立国です(本書より)。残念ながら、そのことは関係者以外には知られていないようです。著者の上野歩さんは、製造業の、特に中小企業にもっと脚光を浴びてほしいと考え、知人である会社社長のアドバイスもあって長編小説を企画しました。それが本書であり、10年近く前から執筆を始め、加筆改稿を加えて小学館文庫から刊行されました。

 上野さんに、取材にまつわるお話をと伺ったところ、その一端を寄稿してくださいました。

《主人公のモデルにお会いしたのは、都内の産婦人科病院でした。日本電鍍工業の伊藤麻美(いとう・まみ)社長です。彼女は、お子さんを出産した翌日、取材を受けてくれたのでした。DJをしていた麻美さんは、亡くなった父君の後を受けてメッキ工場の社長に就任しました。経営状況は非常に悪く、資金繰りに奔走することに。「おカネのことは、おカネでしか解決できない」という経験者ならではの重みのある言葉とともに、さまざまなエピソードを聞かせてくれました。

「女は危ないからよせ」という声を振り払って現場に出るようになった、大阪は中辻金型工業の戸谷加代(とや・かよ)さんも主人公のモデルの一人です。

 暗い汚いという町工場のイメージは昔の話。西洋の城のような塔のあるメルヘンチックな建物――本作の舞台となる東京墨田区に実際にある浜野製作所が主人公の会社のモデルです。

 製造業の現場を訪ね、そこで働く人々の声を集めることで、日本を支える町工場のまさに今の今を描けたと思います。》

 花丘製作所の社長になった明希子と個性的な社員達が、大企業の難易度の高い依頼を、試行錯誤の末にどうクリアしていくのか。さわやかで心熱くなる物語です。

本書の内容はこちら

上野歩さん画像(「削り屋」浪曲会)

前作『削り屋』を原作にした浪曲を演じた木村勝千代さんと、イベントで語り合う上野さん。

著者プロフィール:上野歩(うえの・あゆむ)

1962年、東京都墨田区生まれ。専修大学文学部国文学科卒。94年、『恋人といっしょになるでしょう』で小説すばる新人賞を受賞し、作家デビュー。旋盤工を描いた『削り屋』(小学館文庫)のほか、『鳴物師 音無ゆかり 事件ファイル』『愛は午後』『ふれあい散歩 じんわりほのぼのエッセイ』などの著書がある。
公式サイト http://www.uenotei.com

 

父の病気で、広告代理店のOLが『わたし、型屋の社長になります』ひたむきに取り組む女性社長の奮闘と中小企業の心意気を描いた製造業応援小説!