「子供を保育園に入れたい…」
ただ、これだけのことに頭を悩ませ、一喜一憂している両親は、300万人はいると言われています。
少子化が叫ばれ、子供が減っているはずなのに、保育園が足りないという矛盾。
「保活地獄」などと呼ばれ、認可園に入れなかったことで仕事を辞めざるえない状況に追い込まれたり、果ては「保活」のために離婚まで…。
もしも、保育園が義務教育化されたなら。
それだけで、どれだけの両親が救われるでしょう。そしてこれは実は、子を持つ親だけ、ワーキングママだけが救われる話ではありません。
ノーベル経済学賞を受賞したヘックマン教授による実験で、集団の中で行われる乳幼児教育こそが、将来の年収や体重、犯罪に手を染めるかどうか…等々、人生の成功に最も大きな大きな影響を与えるということが解ったのです。 ヘックマン教授は、5歳までに人生は決まるとまで断言されています。
また、児童虐待の多くは、実は0歳時の時に起こっていることが解っています。それは、孤立した母親が、やむにやまれず起こしてしまっています。母親を責めるのではなく、母親を孤立させない社会にすることで、不幸な事例を減らすことができる。
専業主婦であっても、子供を気兼ねなく預けることができる場所を作ることは、社会全体にとって利益が大きいのです。
『保育園義務教育化』、これは、少し突飛なアイディアに聞こえるかもしれません。けれど、実は、アメリカを含め、すでに世界ではブームとなりつつあるアイディアなのです。子供を産みやすい社会になれば、人口が増え、消費が拡大し、景気は回復し、年金問題も解消される。
社会学者・古市憲寿氏が提言する『保育園義務教育化』、ぜひご一読ください。
作者プロフィール●古市憲寿(ふるいち・のりとり)
社会学者。朝日新聞信頼回復と再生のための委員会外部委員。日本学術振興会「育志賞」受賞。「ワイドナショー」「とくダネ!」等でコメンテーターとしても活躍。