8年前刊行の文庫がじわじわ増刷のなぜ? 杉山春著『ネグレクト』が異例のロングセラーです!

 

 2007年に発刊された小学館文庫『ネグレクト 真奈ちゃんはなぜ死んだか』が、この6月で4刷を重ねています。04年発刊の単行本も7刷まで伸びており、児童虐待という地味なテーマを扱ったノンフィクションとしては異例のロングセラーとなっています。

 本書は、2000年12月に愛知県で、3歳の女児が20日近くも段ボール箱に入れられ、放置されたまま餓死するという悲惨な事件がテーマです。著者・杉山春氏は、裁判記録や周辺取材にとどまらず、被告として収監中の両親(共に当時21歳)にも面会し、文通を続けるなど3年半にもわたって精力的に取材を重ねてこの作品を完成させ、第11回小学館ノンフィクション大賞を受賞しました。

 女児が次第に弱り、やせ細っていく描写は読者の胸を締め付けます。21歳の若い夫婦は、なぜ愛情を注いでいた我が子を育児放棄=ネグレクトし、死に至らしめたのか。子どもを虐待する親の心の病理を奥深いところまで追及した、初めてにして唯一の書なのです。

 加えて、この家族の異変を感知し、救済できなかった周囲や行政の問題を鋭く指摘します。今では一般的に認知された「ネグレクト」という言葉を、最初に世の中に定着させたのは本書の功績と言えます。

 今も後を絶たない凄惨な児童虐待問題の第一級資料として読み継がれているようです。

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8年前刊行の文庫がじわじわ増刷のなぜ? 杉山春著『ネグレクト』が異例のロングセラーです!